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夏の夜は至極短い。
何時までも明るく、夕闇の頃は永く。


その日もまた、暮れの頃に戻れば手紙が一通届いていた。


そう長くもない文面を読み通す事に然程時間はかからず。
終われば同時に、戻ってきたばかりの身を外へと向かわせる。




――暫く。
辿り着いた先に、最近越したばかりだというテントはなかった。

元々流浪の身であった人。
この地の中を巡る期間が終わっただけに過ぎない。


それが、旅人の物語。


「けど、なぁ。…突然だぜ、全くよ」

頬をかく。
見送る事はもう忘れたはずの昔に慣れたはずだったが。


(慣れたからって、感傷に浸らずに済むわけでもねぇ…か)

踵を返す。
美しい湖に映る紅い夕闇を背に。
耳に残る、ギターの音色と詩を口ずさみながら。
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